2008年 04月 25日
ギフチョウ・ヒメギフチョウの舞う里
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「チョウ類保全シンポジウム−ギフチョウ・ヒメギフチョウ−」が開催されます。
が、一足お先に22日と23日にギフチョウ・ヒメギフチョウの混棲地、山形県鮭川村でおもいっきり遊んできました。
今年はギフチョウ・ヒメギフチョウとも撮影を見合わせようと思っていたのですが、18日に両蝶のピークは21日から23日…というありがたい地元情報を頂いてから気持ちがグラグラと揺れ出し、その為には…と、頭を整理する為に問題点を書き出し、じっとしていられなくなり、結局土日とも徹夜して、月曜日もギリギリの時間まで仕事の目処をつけ、気が付いたら最終の新幹線に乗っていました。
予定外の遠征でしたが、行く事ができて本当によかったです。
これまでギフチョウ・ヒメギフチョウを撮るにあたってはほとんど山形にしか出掛けていませんでしたが、時期を外していたせいか、あまり多くの個体を見た事がありませんでした。
ただただ現れるのをじっと待つというイメージ。
そんなこともあってか、諸先輩方のようなギフへの盛り上がりに欠けていました。
ところが今回、そんな私の考えは一転しました。
春浅い農村の空のもと、次から次へと現れてはカタクリの赤紫色の花の脇をすり抜けながら飛んでいく様子、カタクリにしがみつく様子を見ていたら、この蝶に毎年夢中になってしまう気持ちがわかりました。
22日。8時ちょっと過ぎに実家を出て10分後には現地に到着しました。
車を停めて歩いていると、
まだピンポイントの場所に着く前に地を這う様に飛ぶヒメギフチョウが現れました。写真のデータを見ると8時20分です。
同行の両親に、ヒメギフチョウの方だと教えてあげながら歩き(行く前にK師匠に見分け方をレクチャーしてもらっていなかったら区別出来ませんでした)、幸先の良いスタート。
この一枚目のコだけ後翅内側の赤い紋の下の黒ポッチがすごく小さいみたいです。
落ち葉にしがみついたままじっとしていた
ヒメギフ。
どれだけ近づけるかな…と大接近。
あんまり動きたくないみたいでした。
カタクリのたくさん咲いている斜面に到着し、下から眺めてしばらくすると1頭、2頭と飛んでいる姿が見えてきました。
少しの間、うれしくてただその光景をうっとりと眺めて楽しみました。
幸先が良くても後になってみると実はそれが最初で最後の目撃…という幾つかの蝶での経験を思い出し、早速撮影を開始しました。
飛んできては地面で休み、またブッシュへと戻って行く個体が多かったですが、カタクリで吸蜜する個体もよく見かけることができ、そばに駆けつけて撮影するのはたいへんでしたがとても楽しい一時を過ごしました。
気分の盛り上がりもあっという間ですが、まだあまり良い写真が撮れてもいないのに同じ事を繰り返しているとすぐ飽きてしまう私…。ちょっと、近くの農道を散策。
以前から大好きなコツバメ。
秘かに期待して散策していただけに夢中になって撮影してしまいました。
その後も何度かヒメギフ地帯とコツバメ地帯を往復しました。
私が蝶を追いかけている間、父はじっくりとヒメギフチョウを観察し(鮭川村自然保護委員会の会員でもあるので)、
母はといえば木の芽(アケビの芽)を夢中になって採集していました。
その晩、茹でた木の芽はしゃきしゃきとした食感と苦みが春の山菜らしくておいしかったです。(しかもアケビの芽に多く含まれるアントシアニンという抗酸化成分に、老化予防や美肌効果があると、おもいっきりテレビで言ってたらしいですよ。)
ちなみにこの大きくなったフキノトウの茎も、普通のフキのような炒め物になって食卓に出てきましたが、こちらもほろ苦でおいしかったです。芽を出したばかりのフキノトウで作るフキノトウ味噌や天ぷらも良いですが、長い茎の炒め物も良いですね。(それは自宅の周りで採りました)
脱線してついつい食べ物の方へ行ってしまったのでもう一つ追加しますと、この日母は細〜い笹タケも採集し、それは味噌汁になりました。
母は山菜採集だけでなく、私のお下がりのデジカメでカタクリやショウジョウバカマなどの花の写真を撮るのにも夢中でした。もちろんヒメギフにも挑戦していましたが…。
そんな母のおかげで撮れた大事なシーン。
母が座ってコーヒータイムを楽しんでいると、すぐ近くにヒメギフが着地したそうです。
ちょうど私も手持ち無沙汰になっていた時だったのでそばに行き見てみると、じっとしているし、私たちの気配を感じそうなものなのに飛ばない。
とりあえずファインダーから覗いてようやく気が付きました。
5分ほどで産み終えて飛んで行った後に残されたキレイな卵は19個。
時間をかけて丁寧にたくさんの卵を一枚の葉に産みつける様子に感動しました。
兄弟たちは仲良く葉っぱを食べて仲良く蛹になって来年の春を待つんだろうなぁ。
ヒメギフチョウは裏翅の方が色鮮やかですね。
産卵場所の手前に野いばらがあり、トゲの痛みに耐えながら撮影していましたが、その他の場所でも栗のイガが落ちていて、撮影中デニムを通して鋭い痛みが何度もありました。
家に帰ってから膝を見ると、刺さった跡の赤いプチプチが残っていました。
みなさんはこんな時の対策として、どうされているのでしょう?
この後も撮影を続け、お昼には両親お勧めのお蕎麦屋さんへ。
せっかくの撮影チャンスがあるのにお昼ご飯を食べに行くのって、時間がもったいないと思われてしまうかもしれませんが、せっかくの山形、やっぱりお蕎麦を食べずして帰るのはもったいないのです。
私は初めて行ったのですが、父の友人が数年前に開いたお蕎麦屋さんは、とても上品でセンスの良いお店でしたよ。
そば屋 千太郎
山形県鮭川村石名坂17
(奥羽本線 羽前豊里駅 駅前)
0233(55)2944
お蕎麦も私好みのコシの強い手打ち。すごくおいしかったのですが、大きなお皿に入ったお蕎麦、私は食べきれませんでした。(天ぷらも頼んだからということもありますが)あまり満腹すぎると午後の活動にも影響ありますし…。
これまでは『次年子の七兵衛そば』だけが私にとってのギフチョウ・ヒメギフチョウのセットでしたが、次に帰省した時にも近場でもあるここに寄りたいと思います。
午前中に行った場所では私はヒメギフチョウしか確認できませんでしたが、午後に行った場所ではギフチョウも撮影できました。
長々と蝶以外のことを書いてしまったので午後の部は別立てにします。
今回のレポの冒頭にいきなりこれをもってくるのもどうかと思ったので後に持って来ましたが、到着後歩き出した直後にパッと目に入ったのが日光浴をしているウスバシロチョウの幼虫。
3匹いました。(3匹一緒に写っている写真は撮っていませんでした)
近くには小さなヤマエンゴサクが今のところ2本だけ。
この3匹を賄いきれるのかちょっと心配。
いつもなら早春の花の写真もたっぷりと撮るのですが、今回は常に蝶の姿があったので花の写真はおろそかになってしまいました。
少し反省です。
興奮醒めやらぬ…という感じでだらだらと書いてしまいました。
by papilabo
| 2008-04-25 07:34
| アゲハチョウ科(その他)